孤独な花と孤高の王子





「そうなんだ。なんかいいな、新鮮だ」


そう言われるとますます恥ずかしくて顔を上げられない。



「………すみません」


「いや、楽しいからいいよ。―――あ、運ばれてきたからまずは食べろよ。腹減っただろう?」


そう促されて運ばれてきた食事に手をつけてみるけど、緊張しすぎてて味なんかわからない。


俯きっぱなしの顔を一瞬上げて向かいにいる篠宮さんを見ると、ゆったりと食事を楽しんでいる。
その様子はまるでスクリーンに出てくる俳優のよう。


私はいたたまれなくて、おいしいはずの食事をひたすら口に運んだのだった。





< 36 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop