孤独な花と孤高の王子





「―――で、どういう理由なんだ?」




食事を食べ終えた私たちは、運ばれてきた食後のコーヒーを前に話を始めた。


篠宮さんはコーヒーを一口飲むとそう言ってじっと私を見つめる。


私は答えた。
…義父と二人暮らしであること。
ガンが全身に転移していてもう永くないこと。
私のことを心配していること。



「………安心させたかったんです。たぶん結婚とか、孫を見せるとかはできないからせめて」


そう言い終わるのと同時に私は頭を下げた。





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