孤独な花と孤高の王子
それを知った瞬間、俺は今まで味わったことのない感情を味わった。
………似ている?
笹倉と俺、境遇は違うはずなのに何か近しいものを感じてしまった。
もっと知りたい。
彼女のことを知りたい。
この気持ちの正体も分からずに、俺は気づいたら彼女の“彼氏のフリ”をすることにした。
………笹倉のことだ、俺の正体を知ったら逃げてしまうかもしれない。
そんな不安が胸をよぎったけど、その不安すらなんだか楽しかった。