孤独な花と孤高の王子
「―――そんな緊張しないでよ。そんなんで味わかるの?」
俺が全社員の前に次期社長候補としてお披露目されたその日の夜、俺は遠慮する笹倉を無理矢理連れ出して食事に来ていた。
食事が運ばれてくる間、相変わらず俯いて俺のことを一切見ようとしない笹倉。
…慣れてないからとはいえ、こんなあからさまに意識されると俺まで恥ずかしくなってくる。
「なーぁ、笹倉。ちゃんとこっち見ろよ!そんなんじゃ親父さんにすぐバレちまうぞ?」
「………そ、それは困ります!」
そう言いながら頭を上げる笹倉の顔は相変わらず真っ赤で、会社にいるときとは正反対だ。