孤独な花と孤高の王子
私をすっぽりと包み込む大きな背中。
私を引き寄せる腕は優しくて、でも力強く抱きしめる。
篠宮さんに抱きしめられた私は、その腕の中で泣き続けた。
私の様子を見て察してくれたのかなにも聞いてこない篠宮さんに、私は支えてもらうような格好で身体を預ける。
篠宮さんは私の背中を静かにさすりながら話し出した。
「笹倉はひとりじゃない。…俺がいるだろう。フリだろうがなんだろうが今は俺がおまえの彼氏なんだ、…落ち着くまでずっとこうしててやるから」
その声、その言葉。
腕の温かさ。
包まれる安心感。
全部初めてで、できたらずっとこのままがいいと思った。