孤独な花と孤高の王子
…この人、いきなりなんなんだろう。
「どうしてですか?」
「飲みに行かない?今日のお礼も込めて、おごるよ」
そこまで言われて、私は改めて彼の顔を見た。
穏やかに笑ってはいるけど、目の奥が笑っているようには見えない。
…誰にも心を開かなそうなこの人に向けて、私も精一杯の作り笑顔を向けた。
「お断りします。忙しいので」
私はそう言うと早足で会議室をあとにした。
腕時計をちらりと見て、私はいっそう早足で開発室に戻るのだった。