孤独な花と孤高の王子
「海!?今、海に向かってるんですか?」
私がそう言うと篠宮さんは得意げに笑う。
「そ。―――ほら、そっち見てみな。もうすぐ着くから」
そう言われ彼が指をさした方向を見ると、青くきらめく海が広がっていた。
私が窓ガラスに手をつけてただじっと海を見つめていると、篠宮さんは小さく笑う。
「海、好きか?」
「…ほとんど行ったことないからどきどきします」
そう答えると、篠宮さんは満足した様子でハンドルを切るのだった。