孤独な花と孤高の王子





それから、車を降りた私たちは波打ち際に向かった。


数年ぶりの波の音と潮の香りに少し浮かれていた私は、つい駆け足になってしまう。



「おい、走ると転ぶぞ」


「大丈夫ですよ!…あ、貝殻落ちてる!」


そう叫びながらしゃがんで貝殻を拾い始める私の隣に同じようにしゃがみこんだ篠宮さんは、おもむろに深く息をついた。



「…話、してもいいか?」


その声に私が隣を見ると、同じように私を見つめる篠宮さんと目が合う。





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