孤独な花と孤高の王子
こうして、私と義父の最後の生活が始まった。
篠宮さんは忙しいらしく、ここ数日は出張が続いているらしいことを風の噂で聞いた。
だから、特に連絡もしなかった。
同じ会社にいても顔を合わせたりすることもない私たち。
…その方が何かと都合がいい。
そう思いながら数日を過ごしていた。
「―――真琴!」
たまたま本社ビル内を歩いていたとき、不意に私を呼ぶ声がした。
振り返ると、息を切らした篠宮さんがいた。