孤独な花と孤高の王子





私が笑いながらそう返すと、義父はしみじみとした声を出す。



「いやねぇ………由香里さんとよく話してたんだ。いつか真琴ちゃんが彼氏を連れてきたら、一緒に夕飯食べたいねって」


その言葉が私の胸に響いた。


“由香里”は私の母の名前。
…そんな話をしていたなんて初耳だった。



「…そっか。じゃあごちそう作らなきゃね!」


私が笑顔でそう言うと、義父も笑う。
こんなに穏やかな時間がずっと続けばと、私は願わずにはいられなかった。





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