意地悪なマスク。
「今回は隣の席が女の子だったからよかったけど……男の子になっちゃったらどうしよう!!」
「実亜うるさい」
「…はい」
うぅっ…怜香の馬鹿ぁ!
「…はぁ。時間止まらないかなぁ…」
なんて、願っても無駄な事は分かっているが、願わずにはいられない。
神様!!どうかお願いします!!もう嫌いなニンジンも残しませんから!
「……」
手を合わせ、教室の天井を見上げた私に、親友の視線は冷たかった…。
「早苗さん!はい、どれか引いて」
私の願いは虚しく、ついにこの瞬間が来てしまった。
ごくり…
私は中園ちゃんが持つビニールの中に、そーっと手を入れた。
ガサガサガサガサ…
「早苗さん?早く引いて貰えるかなぁ?」
「…いや、それは無理だよ中園ちゃん!…私の運命が掛かってるんだから!!」
中園ちゃんは不思議そうに首をかしげていたけど、私のくじ選びに最後まで付き合ってくれた。