真っ赤なかき氷
─────ぐいっ!
なにも持っていないわたしの右手が後ろから
引っ張られた。
─────────ちゅ
「氷代受け取りました。」
と、わたしの、耳で意地悪に囁き
ニヤッと笑ってわたし達とは逆の方向に
自転車を押しながら歩き出した。
いま…キスされた??
わたしの、足が止まるとけーくんが
「チェリー??どうした??」
「な、なななんでもない。」
わたしはそう言ったけど
多分けーくんは気づいてた。
だって、多分…いや絶対
わたしの頬は、真っ赤なかき氷のように
真っ赤だったと思うから────────。
家に着いた。
けーくんが帰り、「またな。」って言ってたけど
わたしは上の空で。
泥まみれの姿だったから、おばあちゃんに
怒られた。でも、やっぱり上の空。
大事な氷も案の定、溶けてた…。