心の中にはいつもキミがいた
「何、見てんだよ」
タナケンに声をかけられて、俺は我に返る。
自主練の途中だった。
太陽は眩しくて。
キミの汗はキラキラと輝いている。
セミの鳴き声さえも、キミを見ている間は聞こえなくなる。
「おい、タナケン。俺、柳本のこと好きじゃねーから」
俺はタナケンのドリブルしているボールを奪った。
ニヤついたタナケンは、俺のボールを追いかけながら言った。
「好きじゃなくても付き合ってみろよ。女に興味ねーの?」
ないよ。
女に興味なんて。
世界でたったひとり。
キミ
しか・・・・・・
興味ないんだ。