心の中にはいつもキミがいた
廊下
夏休み半ばのある日の午後。
2時。
一番暑くて、一番疲れる時間帯。
「30分休憩にするから」
俺は部員に声をかけた。
水道の周りにみんなが集まって、体に水をかける。
暑すぎる。
頭から水をかぶり、ペットボトルの水を一気にのどの奥に流し込む。
飲んでも飲んでものどが渇く。
俺は常に体育館を気にしていた。
キミのいる場所。
俺達サッカー部には縁遠い場所だった。
「女バスも休憩入ったんじゃね?」
部員が体育館を指差した。
「アイツらに水道奪われるな」
「女バスは怖いからな」
口ぐちにそう言って、水道から離れていく部員。
俺は、頭からもう一度水をかぶった。
そして、みんなと一緒に水道から離れた。
キミは。
今日も、元気だ。
あの頃と何も変わらない笑顔で。
一生懸命バスケの練習をしている。
「そうちゃん、ボールであそぼ」
「うん、いいよ」
「そうちゃん、ボールけっちゃだめだよ」
「ぼくはサッカー選手になるんだもん」
「へ~、すごいね」
あの頃に戻れるなら・・・・・・
俺はどうやり直すだろう。