心の中にはいつもキミがいた




「何、してんの?」



キミは、タオルで顔の汗をふきながら、少し視線を外してそう言った。




もう視界ははっきりしていた。




こんな近くにキミがいる。



俺とキミ、だけ。




「休憩だから、教室で寝ようかなと思って」



ドキドキが止まらない。


ドキドキしていることを悟られないように、ぶっきらぼうに答える。




「部長だからやりたい放題だね」


と、笑ってくれた。




やっぱりキミの笑顔はいい。



好きだな。




俺が部長だってことを知っていてくれた。



「教室、涼しくて気持ちいいんだよ。お前も寝てみれば?」




お前、なんて言ってしまった。


偉そうに。




「寝たいけど、休憩10分しかないから。それに、私なんかと一緒に寝てると、彼女に誤解されちゃうよ」




やっぱり。




誤解しているのは



キミだから。






< 19 / 72 >

この作品をシェア

pagetop