心の中にはいつもキミがいた
教室
怪しい笑みを浮かべた母親をにらみ付けながら家を出た。
俺の手には・・・・・・
ビンに入ったらっきょう。
“そろそろらっきょう渡す時期じゃねぇの?俺が渡そうか”な~んて
俺が言ったもんだから。
怪しむのも当然で。
でも、らっきょう様のおかげで、会う理由ができた。
キミは、らっきょうの為に2組の教室に来てくれるはずだ。
朝からキツイ練習だった。
でも、へっちゃらだった。
何年もちゃんと話せていなかったキミと話すことができた。
誤解も解けた。
さてと。
ここからどうやって・・・・・・
俺のペースに持ち込むか。
難しい。
「柳本が壮太の好きな女子が誰か聞いてくれってうるさいんだけど」
まただ。
タナケン。
「女に興味ないって言っておいて」
「そんなので納得するわけないだろ」
俺は今、そんなことどうでもいいんだ。
それどころじゃない。
「タナケンが付き合えば?お前、好きなんじゃないの?」
適当に言ったのに、どうやら図星だったらしい。
ブツクサ言いながら、顔を赤くして、そのまま俺から離れた。