心の中にはいつもキミがいた





今日のキミは、幼い頃によくしていた髪型だった。




ふたつに分かれた毛先を引っ張って、よく怒られたっけ。





「最後なんだな。もう・・・・・・」




ふいに口から出たその言葉に、キミはとても切ない表情をした。





「そうだね。寂しいな・・・・・・ずっと中学生でいいのに」






俺だって同じ気持ちだった。



ずっと中学生でいい。




キミと同じ校舎で、時々キミに会えるこの場所が、俺は好きだから。






高校生になったら、キミには会えない。



キミは、かわいいからすぐに彼氏なんか作って・・・・・・


俺はそんな現実を受け入れられずに、ひたすらサッカーをするんだろうか。






「昨日言ってた女ったらしな男子のランキング、教えてよ」




俺は、少し元気のなくなったキミに笑顔になって欲しくてそんな質問をした。




願い通り、キミは笑顔になった。






「へへ。真木に関係ある子だよ。田中!!」





やっぱり、アイツか。


女ったらしだし、余計なおせっかいが好きなヤツ。




「タナケンか。当たってるかもしれないな」



「ふふふ。そうだよね」







キミが嬉しそうに笑った。




俺とキミは今とても近くにいる。



昨日よりも近い。








俺達は、昔に戻れるのかな。




あの頃みたいに、素直になれるの?












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