心の中にはいつもキミがいた
「明日、盆踊り大会だね」
キミは、机の上で体育座りをした。
細い足を細い腕で包み込みながら、顔だけ俺に向けた。
それがまたかわいくて、俺はドキドキしてしまった。
「盆踊り?」
「そう。明日だよ」
「そっか。もうそんな時期か。忘れてたよ」
盆踊り大会。
覚えてるかな。
キミは。
毎年、俺とキミは一緒に盆踊り大会へ出かけた。
迷子になるからってキミはいつも俺の手をぎゅっと握っていた。
まだガキだった俺だけど、さきちゃんを守るのは俺なんだってその時思ったんだ。
キミは、金魚すくいがへたくそで。
いつも俺が取った金魚をうらやましそうに見ていた。
懐かしいな。
昨日のことのように覚えている。
俺は・・・・・・ね。
「昔、よく一緒に行ったよね」
キミも、覚えていた。
遠い昔を思い出すような瞳で、俺をじっと見つめるキミ。
俺は、ドキドキしすぎて、倒れてしまいそうだ。
「あ、ああ・・・・・・そうだったな」
なんて、
かわいくない返事をしてしまう。