心の中にはいつもキミがいた



「真木、行かないの?」




「俺?」




「うん。私は毎年行ってるんだぁ」





そっか。


俺はいつからか行かなくなった。




去年は、部活のみんなと花火だけ見た記憶がある。





「どうしようかな」




俺は、かすかな希望を胸に抱きながらそんなことを言ってみる。




“一緒に行こう”なんて言ってくれるわけないのにさ。






「私は、バスケ部のみんなと行くんだけど・・・・・・来ればいいのに。昔より屋台も増えたよ」




そう・・・・・・だよな。



バスケ部のみんなと・・・・・・行くんだよな。







「じゃあ、俺もサッカー部のヤツ誘って、行ってみようかな」




キミに会えるなら。


久しぶりに盆踊りでも見てみようか。



思い出すのはキミとの思い出ばかりだろうけど。






「金魚すくい、うまかったよね」



「お前は、下手だったな」




俺が覚えていることを、キミも覚えてくれていた。





そのことが本当に嬉しくて、俺は体中が熱くなるような変な感覚になった。





本当に、キミが好きだ・・・・・・


そう感じたんだ。





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