心の中にはいつもキミがいた
「明日・・・・・・は、もう持ってくるものないね」
キミは、俺の手の梅干しを見つめながらそう言った。
「あぁ、そうだな。あ、でも梅干しのビンを返そうか?」
「ふふふ。いいよ。明日は・・・・・・会えないね」
切ない顔、するなよ。
俺に会いたいのかなって思っちゃうだろ。
「別に・・・・・・会おうと思えば会えんじゃね?」
「・・・・・・そうかな」
何か良い誘い文句はないかと考えているうちに、廊下の向こうからキミを呼ぶ声が聞こえた。
キミはにっこりと俺に微笑んで、練習頑張ってねと言った。
そして、走り出す。
「明日も待ってるから」
俺は、言えた。
小さな声だったけど、キミに届いただろうか。
一瞬振り返ろうとしたようにも思えたけど、キミはそのまま走って行った。
らっきょうも梅干しも何もないけど、俺達は会える?
明日、キミは来てくれるだろうか。