心の中にはいつもキミがいた
盆踊り
「いらねーって」
朝からうるさいお母さん。
今度は佃煮をあげたいから渡してくれなんて言う。
きっとキミのおばさんと電話で話して、変な作戦を立てたんだろう。
最近話していない俺とキミのことを気にかけていたから。
それに・・・・・・お母さんは俺の気持ちにきっと気付いてるから。
ニヤニヤしながら俺を見送る。
「佃煮は、また今度持ってくから」
俺はそう言って、赤くなる顔を隠すように慌てて自転車に乗った。
今日は、理由もなく会いたかった。
渡すものがなくても会える関係になりたかったんだ。
俺がキミに会いたいように、キミも俺に会いたいと思ってくれているのかどうか、確かめたかった。