心の中にはいつもキミがいた
キミはまだ来ていなかった。
5分待ってもキミは来なかった。
「おじさん、金魚すくい1回!」
俺はたったひとりで金魚すくいをした。
相変わらず俺はうまい。
ここにキミがいてくれたなら。
きっと笑顔で言ってくれるのに。
“相変わらずうまいね”って。
「あと3匹、持って行っていいよ」
おじさんは、大きめの袋に金魚を8匹入れてくれた。
もう店じまいだからサービスしてくれたんだろう。
俺は、人が少なくなった金魚すくいの前で、ただただキミを待った。
もしも、キミが来なくても俺は何時間でも待つつもりだった。
キミを待つ時間は、幸せだったから。