心の中にはいつもキミがいた
「そうなんだ・・・・・・」
みっこは上目使いに俺を見た。
そして、
「ずっと好きだったんだ。初めて見た時から」
と笑顔で言った。
「でも、好きな子いるならあきらめるね」
そう爽やかに言って、俺の前から去って行った。
俺は遅れながら、“ありがとう”と“ごめん”を言った。
みっこに対して抱いていたイメージが変わった。
泣くこともなく、しつこく言い寄ることもなく、実に爽やかな告白だった。
店じまいを始めた金魚すくいの屋台の前で、みっこやキミのことを考えていた。
柳本にフラれたタナケンのことも。
俺は、ただキミのことが好き過ぎて、周りが見えていなかったのかもしれない。