心の中にはいつもキミがいた
屋台の灯りが消え、広場は暗くなり始めた。
さっき花火を見ていた場所にはもう誰もいなかった。
「おい、大丈夫か」
キミを見つけた。
花火を見ていた場所のベンチの隅。
「真木・・・・・・」
地面にしゃがみ込んでいたキミは、俺を見上げてからまた下を向いた。
暗くてよくわからなかったが、泣いているように見えた。
「どうした?」
「何でもない」
鼻声だった。
「帰ろうか」
俺は、しゃがんだキミの手をそっと握った。
「うん」
立ち上がると同時に、手は離れてしまった。
「金魚すくい、終わっちゃったね」
寂しそうにそう言ったキミは、立ち止ったまま、広場の方を見つめた。