心の中にはいつもキミがいた
目をぱちくりさせて驚くキミに。
「嫌いになった?」
キミは黙って首を横に振った。
「こんなこともするし」
俺はキミを抱きしめた。
ずっと、こうしたかった。
俺の腕の中でもごもごと動くキミをもっと強く抱きしめる。
「そうちゃんのいじわる」
「昔の俺じゃないだろ?」
「うん」
俺から解放されたキミは照れ臭そうに俺をにらんだ。
「ごめん、怒った?」
俺は心配になってキミに近付いた。
キミはビクッとして俺から逃げた。
「これならいい?」
俺はキミの手を握った。
どうしちゃったんだろ、俺。
彼女になった途端、大胆になってねぇか。
「うん・・・・・・それならいい」
緊張しながら手を繋いで歩いた。
口数が少なくなったキミに、俺は何度も謝った。
キミは、怒ったフリをしたけど、顔は怒っていなかった。