心の中にはいつもキミがいた
「みっこね、わかってくれたよ。次はタナケンにしようかなって言ってたけど、それはオススメできないよね」
「ははは。タナケンも結構一途でイイヤツだって最近わかった。だから、オススメするよ」
キミと俺は体を寄せ合いながら、話した。
暑いはずなのに、暑いなんて感じなかった。
「高校、行くのやだな、俺」
「寂しいの?」
「紗希は寂しくないの?」
「寂しいけど、寂しくない。だって、家が近いもん。ね?」
ね?と言って、首を傾けたキミ。
そう言われてみればそうだ。
毎日会える。
「そうだな。でも、心配だな。紗希は共学だし」
「私は大丈夫だよ。そうちゃん以外の人を好きになったりしないから」
「俺だってそうだよ」
「じゃあ、何の問題もないね」
「そう・・・・・・か。そうだな」
昔からいつもそうだった。
前向きなキミはいつも俺を励ましてくれたっけ。
幼稚園の劇で主役に選ばれた俺に、緊張しないおまじないをかけてくれた。
友達とケンカして泣いている俺の頭をなでなでしてくれた。
“大丈夫だから”って言ってくれた。