ラフ
ちょうど、お昼を食べるのにいい頃合いになった。
さっきから、おなかの虫も鳴き始めていた。

「お昼どーしよっか」

泉が笑顔で聞いてくる。

「んー・・・なんでもかまんけど」

泉の家からミナミまで、すぐの場所にあった。なので、食べるところなんていくらでもある。いくらでもありすぎて、何を食べるか決めかねた。

「そしたら、ピザでも頼むか」

よし、とひざを叩くと、数枚のピザのチラシを持ってきた。
最近、ピザなんて確かに食べてない。
そう思って、少しうきうきしながらチラシを見た。

「おいしそー。ピザなんて最近全っ然食べてへんかったし」

チラシを見ていると、余計に嬉しくなってきた。

「ピ~ザ♪ピ~ザ♪」

どれにしようかと迷っていると、いきなり泉が隣で噴出した。

「ちょっと・・・なんやねん」

ぶすっとした顔をする。

「いや?可愛いな~って」

腹を抱えながらそんなことを言われても、まったく素直に受け止められない。

「嘘や。何をそんなに笑ってんねんー」

少し起こりながら、泉のほっぺたを引っ張った。
泉は余計に笑いながら、ごめんごめん、と言った。

「いや、ホントに。楽しそうにピザを選んでるんが可愛かったんやて」

疑いのまなざしを向ける。

「だって、選ぶの楽しいやん」

ほっぺたをぷぅっと膨らませて、ピザのチラシを見る。
おいしそうなピザを見て選んでいると、怒っていたのに、自然と顔が緩む。
はっ、として、泉のほうを向くと、ニコニコ笑いながらこっちを見ていた。

「・・・もう選んだん?」

「奈緒はどれがええ?」

ん~・・・と悩みながらも、定番のジャガイモをたっぷりと使ったピザを選んだ。

「じゃ、それと、サイドのポテトでも頼もか」

泉がにっこり笑ってくる。


だめだ、この笑顔はかなり好きかも知れない。


怒っていたのも忘れて、つられて笑う。
うん、と頷くと、泉が注文をしてくれた。
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