ラフ
「どしたん」

『え?や、昨日あの後どうなったかなーと思って』

明日香の言葉に、思わずうっと言葉がつまった。

『・・・なにがあった、白状しろー!』

その瞬間を逃さず、楽しそうな声で明日香が問い詰めてきた。

「や、その・・・ま、いろいろと」
『いろいろとってなに!そこ重要!』

明日香の勢いに負け、昨日の出来事、付き合うことになった経緯を報告した。

『あっははははは!あ、あははははは!』

携帯の向こうで大笑いをしている明日香。笑われると分かっていたから、言いたくなかったのに。

「ちょっと、笑いすぎやろ」

むっとした声で言い返すと、ごめんごめん、と明日香が答えた。

『で?どうなんよ。奈緒は』

「え?」

『え?じゃなくて。奈緒はどうなん、泉君のこと』

「えー・・・だって、昨日知り合ったばっかりやし」

『でも、付き合うってOKしたんやろ?』

「うー・・・・」

『正直に言いや』

「はぁ・・・」

『どうなん?』

明日香に押される。ホントにこういうときの明日香は強い。

「・・・正直、分からん。ほんまやで?けど、多分、好き・・・やと思う」

『なんそれ、はっきりせーへんなぁ』

「だって・・・泉君のこと、何もしらんもん」

『まぁ、確かに』

「でも、なんか可愛いというか。なんていうか。ちょっとしたしぐさとかが、可愛いな~とか思ったりして。分からんけど、そういうとこは・・・ちょっと、好きかも」

少し沈黙が走った。

「嘘です。ホントは結構好きです」

『やっぱりな~』

明日香が確信していたかのような声で言った。
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