ラフ
「だってお前・・・そんなん、もしかしたら、他の男ともそうやってるかもしれんし。それに、そんな簡単に男の家で寝るとか。ちょっと軽くね?」

「奈緒は!…奈緒はそんなやつじゃない」

「でも、そうやろ?会ったばっかりの男と、同じベッドで寝て。付き合うとか」

自分が嘘をついたせいで、奈緒が悪く言われる。それがどうしても許せなかった。

「・・・ホントは」

すべてを話した。夜、ホントはそんなことはなかったと。
正直に話し終わると、堺の悪い笑顔が目の前にあった。

「やっぱりな」

「・・・へ?」

間の抜けた声が出た。

「お前の行動なんて、お見通しやっちゅーねん」

唖然とする泉。

「仮にも、相方に紹介する女の子やで?いくら俺の彼女の友達やゆーたって、そんな軽い子を紹介させるわけないやろ」

絶句する。

「別れるときにあんな酔っ払ったふりしてたくらいや。よっぽど気にいったんやろうとは思っとったけど。嘘はよくないで」

頭を抱える。

「ま、とはいえ、結果オーライってとこか」

堺の顔がまともに見れない。

「そんなに気にいったんか?」

真剣な顔でこっちをみてくる。ふぅ、と息をつくと、静かに頷いた。

「自分でも、正直、なんであんなに引き止めてたんかは分からん。ほんまは、誰でもよかったんかもしれん。けど、ベッドで横になってる奈緒を見たら、なんか可愛くって。コレが他の男のものになるかと思ったら、イラっときてん」

口に出して少し恥ずかしくなってきた。

「最初は、一緒に寝ても、お酒が入ってたしって、言い訳できると思っとったけど。奈緒がちょっと落ち込んでるように見えて、そんな言い訳したら・・・傷つくと思った」

奈緒に嘘をついたときのことを思い出す。

「ほんまは正直に、言おうと思った。けど。奈緒が、その。欲しくって」

話を聞いている堺の顔が赤くなっていった。

「きも!」

「きもってなんやねん、きもって!」

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