ラフ
はぁ、と息をつく。

「これって、奈緒に正直に言うた方がええんかな」

うーん、と堺が腕組みして悩む。

「・・・いや、言わん方がええと思うけど」

「やっぱり?」

「そらな。下手したらお前。別れるとかいう話になるで」

そうか、としかめっ面をする泉。

「ま、ええやん。奈緒ちゃんも、お酒が抜けて、しらふの状態で、お前の告白を聞いて、OKしたわけやし」

まぁ、と照れる。

「ま、なんにせよ、黙っといたほうがええと思うで」

こくんと頷いた。
その後、あれこれ、話を堺が聞いてきた。泉がテレながら話をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。

「すいません、本番お願いします」

『はい』

呼ばれて席を立ち、控え室を出てスタジオへと向かった。


スタジオに着くと、多くの視聴観覧者がいた。

「今日も多いなぁ」

「ええこっちゃ」

収録が始まり、セットにあがった。
この番組、本当は別の芸人がレギュラー出演している。
が、その芸人が、体調を崩したとのことで、代わりに俺達が出ることになったのだった。

「いつもはナカヤが出てますが、体調くずしたってことで、代わりにたなからぼたもちがきてくれましたー!」

紹介された瞬間、黄色い声援が飛び交った。

「くー!お前ら!俺より人気があるくせに、一緒に出るな!」

笑いが起こる。
その日の収録は、順調に進んだ。

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