ラフ
「今日の夜、合コンすんねんけど、人数が足りんでな。暇やったらきてくれんかなーと思って」

高瀬が笑いながら聞いてくる。
先輩のお願いはある意味、強制だ。
後輩に断る、という選択肢はない。

堺の方をみた。顔は笑っているが、明らかに嫌だというオーラを放っていた。

「・・・何時からなんすか?」

おぉ!と高松が肩を叩いてくる。

「いや、時間は20時から。場所はミナミや」

収録は19時まで。生番組なので、押すことはないだろう。
ミナミなら、場所によっては、ぎりぎりまで奈緒と一緒に居られる。

「まだ、この後収録が残ってるんで、間に合うかわかんないっすけど、それでもいいっすか?」

堺も観念したのか、しぶしぶ、了解を出した。

「すまんな!他にも何人か呼んであるし、また連絡くれな!」

そう言って、2人は控え室を出て行った。


はぁ。。。。

残された2人の大きなため息が広がる。

「・・・また明日香に怒られる・・・」

その一言で思い出した。

「俺・・・今日、奈緒と仕事が終わった後、ご飯行こうって約束した・・・」

一瞬にして顔が真っ青になる。

「おま・・・どうすんだよそれ。先輩命令は絶対だぞ?」

「・・・仕事が長引いてとか、だめかな」

「・・・あの2人だぞ。俺らが今から生の仕事で、時間きっちり終わるってことくらい知ってるって」

頭を抱える。

「・・・とりあえず、終わったらソッコー、家に帰るわ」

「・・・逃げんなよ?」

「・・・分かってるって」

「・・・俺も明日香にメール送っとこ・・・」
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