ラフ
***** 奈緒's View *****

帰ってきたとたん、すまなそうに謝ってくるから何かと思った。
ご飯に行けなくなったってことだった。
正直、泉から誘ってきたことだし、そのために、私は今日丸々この部屋で過ごして、泉を待っていたわけだし。腹は立った。
けど。

・・・過去に何度か、それで元彼と喧嘩したことがあった。もちろん、自分がごめんって断りを入れる方。しかもそのせいで別れたりしたからね。
仕方ないってことくらい、十分分かってた。だから、いいよって言っただけやったんやけど。あんな反応が帰ってくるとは思わんかった。

時間ぎりぎりまで一緒に過ごした。ほんの数十分間だけ。
携帯番号と、アドレスを交換した。(してないの、忘れてた)


時間はすぐに過ぎた。収録の話なんかを聞いて、目一杯笑った。

「あ、明日の予定は?」

泉に聞かれて首を横に振った。

「なんにもなし。DVDでも借りてきて観ようと思ってたくらいかな」

笑って答えると、泉が目を輝かせて誘ってきた。

「じゃあさ、明日、朝、映画行こう!あ、映画好き?」

あわてて聞いてくる泉に、誘う前に聞こうよ、と少し笑ってしまった。

「映画好き。今、観たいのがあってんけど、1人で行くんはちょっと勇気がなくて」

苦笑いすると、じゃあ!と、泉が誘ってきた。朝一の時間で行って、一緒にお昼を食べようと。昼からは仕事があるが、すぐに終わるので、明日こそ夕飯を一緒に食べたいとのことだった。

「また連絡する。今日の飲み会が終わったら連絡する」

ぽんぽん、と頭をたたいてきた。泉の優しい顔があった。
また少し、ドキドキした。

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