ラフ
びっくりした顔をする高松。

「え、なんで!?」

逆にびっくりする奈緒。

「え、いやなんでって。私じゃなくてもいいじゃないっすか」

奈緒の反応にまた驚く高松。

「めっずらしいな、君。変わってるって言われるやろ!」

高松が笑いながら言ってきた。

失礼な!・・・その通りだから反論できないけど!

「俺、君とご飯食べたい!ってあ、やば!こっち!」

いきなり手をつかまれ、そのまま引っ張られる。

「ちょ、ちょっと!」

こけそうになる。手を振り払おうとしたが、つかんでいる力が強すぎて、振り払えない。立ち止まったらこけてしまう。一緒について走るしかなかった。

裏道に入って少ししたところで止まった。いきなり走ったもんだから、息が上がっていた。

「ちょ、なに・・・いきなり・・・」

深呼吸をして、何とか息を整えようとする。

「あはは、ごめんごめん」

大丈夫か?と背中をさすってくれた。

「いや、追っかけの女の子がおってな。危うく見つかるところやったから逃げてん」

「・・・はぁ。私はそれでなんで一緒に逃げないといけなかったんでしょ?」

少し恨めしそうに聞いてみた。

「いや、だって一緒におるとこ見つかったらやばいやろ?」

居たくて一緒に居たわけじゃないんですけど。

恨めしそうな顔で高松を見る。少しずつ、息が整ってきた。

「さ、飯行こうか」

「行きません」

はぁ、とため息をついた。

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