君と書いて「恋」と読もう。
本当は、分かっていたのに知りたくなくて、分かっていた自分に嘘をついていただけなのかもしれない。
「なんでだよ」
冗談だと言ってくれ。
「冗談だと思ってるでしょ?本当よ。疲れたの。」
意味が分からない。
けど、分かりたくない。
意味を知ることより前に、まず信じたかった。
「百合の言ってることは、いつも分かんねぇんだよ」
不安と怒りが入り交じる。
頭上では、沈みかけた太陽と、薄く光る月が交差する。
薄暗い空色は、今の僕の心の色と同じで、濃く掛かり始める雲は、今の不安と同じ。
全てが僕を映しているようで、腹立たしい。
「でもさよなら」
「なんでだよ」
信じたくない。
だんだん僕の不安が大きくなる。
でも心の片隅の小さな光りを『好きだから』と言う言葉を期待してる。
「決まってるじゃない。もうこんな関係は、いらなくなったの」
『恋愛』になったから。
そう言ってくれ。
「彼氏が出来たの」
僕の光りは、打ち砕かれた。
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