月と太陽
「星華?俺は何も知らないよ。でも、教えてくれなきゃ分かんないよ…?」
僕は“優しいお兄ちゃん”なんかじゃない。
だからこんな時くらい、少しは、格好付けて見たかった。
でもそんな考えで、言葉を出した僕は、やっぱり格好悪くて…。
目尻に大粒の涙を留める、星華にかけてあげる言葉が、思い浮かばなかった。
それでも、頑張って小さな肩を振るわせて、言葉を発しようとしている、星華はなんだか僕より力強く見えた。
「あぁ…。うぅ…。星夜ぁ~…。」
渇れている声。
力強く見える身体とは別に、弱々しく言葉を発する星華。
「流…音…。もぉ…逢えないよぉ…。りゅ…話したい。」
星華は床に泣き崩れた。
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