月と太陽
「星夜!」
桜は勢いよく僕を呼んだ。
「きまったんか!?桜ちゃんっ!」
僕は満面の笑みを見せた。
「星夜!桜でいい!それと、後ろの子。気にいったんやけど・・・・・!」
桜の言葉に、僕は‘ちゃん’を付けなくていいと言われた嬉しさなんて忘れて、表情を変えた。
桜の言った‘後ろの子’。
それは、僕の双子の妹。
星華だったから。
そんなこと、1つも知らない桜は、不思議そうに首を傾げていた。
そんな桜を見て僕は星華を後ろから引っ張り出してきた。
「あっ!ええんやけど・・・・・。こいつ、俺の双子の妹なんや。」
でも、桜はそんなに驚いていなかった。
そんな桜を見て俺は星華に桜と友達になってくれるように、頼んだ。
でも、星華は僕が答えを聞く暇もなく、桜に話しかけた。
「うちは、櫻宮 星華です。桜ちゃんいうん?よろしゅ~なぁ~♪」
そんなことを言う星華に桜は戸惑いすら見せず、今期最大と言っていいほどの、笑顔を見せた。
その笑顔は、想像以上に、たまらなく可愛かった。
そして、桜はそのままの表情で、
「星華院 桜です。出来たら、友達になってください。」
と、星華に告げた。
星華もにっこり笑って、
「友達なんて甘いこといいんと、親友や!親友!」
と、2人は一瞬のうちに、打ち解けていった。
そしたら、桜は僕に、
「ありがとう。星夜も!こんないい、妹さん持って!幸せやなぁ~。」
なんて言ってる。
おばさんみたいな1言だけど、僕には宝物の様に思えた。
その後星華は、塾のため帰ってったが、僕と桜の間には、他愛もない会話が流れた。
でも、この後しばらくして、大惨事が起こることを、このときの僕はまだ、ただ桜といることが幸せで、知る予知もなかった。
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