だからキスして。
色々と聞きたそうな顔をしてる松田ちゃんに気づき、あたしは適当にごまかした。

「まだ付き合って日が浅いのよね」

「ふーん?そっかぁ…彼氏できたばかりじゃ合コンなんて行けないよね」

「うん、ゴメンね」

「じゃ彼氏に癒されてればいいんじゃん?あ、しまった!もうこんな時間!じゃあね」

腕時計を見て、松田ちゃんは慌てて来た通路を戻っていった。

はぁ…

'付き合ってる人がいる'…なんて言っちゃってよかったのかなー

ホントによくわかんない。あたし達の関係。

実はもう二週間も悩んでいた。

恋人らしいことを全然してないんだもん。

あの
『付き合って』って言葉はあたしの夢か妄想かもしれない…なんて思ったりして。

勘違いだったかもしれな…

───はっ!!

意味が違うとか!?

恋人になろう的な意味じゃなくて
ドコかに行く為の『付き合って』だった?!

いや───!!
もう確認できないじゃない!



仕事が終わるまでそんな事を悩んだり、担当していたおじいちゃんを思い出しては涙したりで
忙しい一日が終わる頃

携帯に一件のメールが届いているのに気づいた。

あたしの恋人(?)
『ミナ』からのメールだった。
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