だからキスして。
あたしもミナの隣で着替え始めた。

ミナがこんな子だからなのか…隣で着替えていても恥ずかしくないなぁ。

「ミナがおっぱいを付けた日にね…妹が家を出て行っちゃったんだぁ」

彼女は自分の胸を見ながらボソッと言った。

「妹?どうして出て行っちゃったの?」

「千波はミナが女のコになりたいってのは知っていたし、理解してくれてると思ってたけど

ミナの胸を見た夜に黙って出て行ったって事は軽蔑したってことだと思う」

「他に何か理由があったんじゃない!?わかんないけど…多分!!」

なんにもわかんないし気休めかもしれないけど、ミナには自信を持って欲しかった。

「…そうだといいな…」

でもミナは自分の胸を見ていた。

きっと身体の全てにコンプレックスを感じている。

憧れて憧れて憧れて
ようやく手にした一部なのに、それが逆に苦しくなってるのはわかる。

生まれついた身体も
人工的に造り変えた部分も

どれほど違和感があって、どれほど異質でもね
これがミナなんだから恥じる必要なんかないのよ?

「あたしはミナの身体も、ミナ自身も好きだよ」

「だからミナは真希が好きなの」

話しながら、あたしは着替えを終えていた。
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