だからキスして。
佑樹が帰ってくるまでが闘い。

毎時間ごとにやってくる不安。佑樹が浮気してないか、メールを何度も送ったり、電話したり。

自分でもウザイくらいに、佑樹の存在を確かめている。

『今、仕事中だから後にして』

ようやく通じた電話で、素っ気なく言われるだけでパニックになり、過呼吸にもなった。

黒いモヤモヤしたものが、あたしを覆う。

助けて
助けて…佑樹…

泣きながら倒れていた所に佑樹が帰ってきた。

「ただいま…おい、千波!どうした?!大丈夫か!?」

「…ゆぅ……きぃ…」

苦しくて佑樹の名前すら呼べないのに、あたしはホッとしていた。

佑樹は、その力強い腕であたしを抱き上げ
ベッドに連れていってくれた。

「大丈夫か?病院に行こうか?」

「…だ…大丈夫…もう平気…佑樹が、帰ってきたから…」

「ゴメンな…独りで心細かっただろ。今夜はずっと抱きしめててやるからな」

優しい佑樹。

大好き。

昼間の不安はなんだったの?っていうくらい、安心してたし穏やかに過ごせた。

このまま死ねたら幸せかも。

このまま朝なんて来なければいいのに。

ずっと…抱きあって交ざりあって
佑樹と一つになりたいよぉ…
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