だからキスして。
どれほど願っても
結局、朝がきて佑樹は仕事へ行く仕度を始めた。

「千波、ゴメンね。今日から出張なんだ」

「嘘っ!嫌だ!ねぇ、いつ帰ってくるの?!」

「韓国だから…一週間なんだ」

申し訳なさそうに言う佑樹。
あたしは突然の出来事と不安に襲われて軽いパニックになった。

「嫌っ!そんなの聞いてないよ!行かないで!そんなの他の人に代わってもらってよ!」

佑樹が居なきゃ死んでしまう。

嫌だ
嫌だ────!!!!



「そんな事、無理に決まってるだろ。仕事なんだぞ?これは俺の仕事なんだから責任あるし。ガマンしてくれよな」

「イヤ!あたしと仕事どっちが大事なの!?」

泣きながらそう聞くと、佑樹は冷たい口調で返事をした。

「あ、そういう事聞くんだ~。別れよっか?」

「…えっ…」

「いいよ俺は別れてやっても。ガマンしたくないんだろ?別れたらもうガマンしなくていいじゃん」

別れ…る?

嫌…佑樹…嘘だよね?

冷たい瞳

お願い
嘘だと言って


「嫌だ…嫌だよぉ…佑樹と別れたくない…」

どうすればいいのか分からなくなって、泣きながらそう言うのが精一杯だった。

「…ゴメンね、嘘だよ千波」
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