だからキスして。
そう言われて、ちょっとホッとした。

私が居ると、生徒と話しちゃうから部活の邪魔になるよねって思ってたから。

「じゃ、しばらく居させてもらいますね」

「どうぞ」

私が美術準備室を出る時、すでに白石先生は自分の描きかけの絵の前に座っていた。

個展あるって聞いたから忙しいみたいね。

私はそのままノートパソコンを持って美術室へ。

宮崎くんを見てなきゃだけど、その間にできる仕事もやらなきゃね。

私がパソコンを開いた頃、バタバタと集まってきた生徒達が準備運動を始めた。

もちろん宮崎くんも一緒に参加してる。

始めの一時間くらいは何度も見てたけど…無茶なことはしてないみたいね。

一応、鍋島先生も気にしてるし
これなら大丈夫。




六時になるころ、私もちょっと飽きてきた。

「ふぁぁ…」

アクビが止まらない。仕事も終わるし、そろそろ部活も終わるわよね?

七時くらいには帰れるかしら?

鍋島先生に聞いてこようかと思って席を立った時
美術室に置かれた何点かの石膏像が目に入った。

もちろん見た事はあったし、これを見ながらデッサンとかするって事も知ってたけど…

よく見るとちょっといい顔したのがいる。
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