だからキスして。
全部見られてるって事は…私が阿部くんの名前を呼んでいた事も知られてるってことだ。

難関突破して
運よく高校の保健医になれたのに

今までの人生なんだったの…

ああ…こんな事なら早くに彼氏とか作っておくんだった。

あんな事やこんな事
早くに体験しておくんだった…

変態っぽい趣味もガマンしとけばよかった。

太るから、昨日のケーキもガマンしとけばよかった。

もうすでに思考は停止していて、ワケ分かんなくなっている。

阿部くんはカーテンを引っ張り、まだ私に話しかけてきた。

「出てきなって。そんなにカーテン引っ張ったら切れちゃうよ」

「…」

「カーテンにファンデついちゃうんじゃないの?」

そんな事言われたって…無理だから!!!!

もうほっといて
早くいなくなってほしいのに~

「センセ。さっき石膏像に向かって俺の名前を言ったんでしょ」

「!!」

「って言うかさー、センセ。科学実験室の授業ん時、俺の事覗いてない?」


ええええええ──!!!!

なんでバレてんの!?



「…っ…知って…たの?」

「意外と見えるんだよ。たまに双眼鏡?のレンズが反射してるし。

ね、俺の事
好きなんだろ?」
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