だからキスして。
─1─【晩年】
…本当にこんな事が頼めるのか?
私は
ふとした事から手に入れた携帯電話の番号に電話をかけた。
何度、娘に教えられても覚えられない携帯電話の操作。
私はこんなに老いて、全てが衰えてしまった…こんな時、いつも自覚する。
娘はいつもイライラしながら同じ事を何度も繰り返し教えてくれてたな…。
少し思い出しながら、5分くらいかかって
ようやく電話をかける事ができた。
『もしもし?』
若い女の声…娘よりも大分若い声に戸惑いながらも、間違い電話じゃない事を確認しようと試みた。
『もしもし?』
「あー…えーと…その、人から聞いて電話したんですがね…この電話はその…いや、君はその…本当に…」
『ハイ!?』
やはり間違えてかけてしまったか?
自分でも聞きたい事を順序よく聞けない。
'一体何を言ってるの?'
そんな風に、電話の向こうからは怒っている女性の顔が想像できて、申し訳なく思った。
「いや…申し訳ない。間違えてかけてしまったかもしれない」
やっぱり携帯電話の操作を間違えてしまったのかもしれない…謝って電話を切ろうとした時、向こう側の女性は言った。
『もしかしてキスの依頼ですか?』
私は
ふとした事から手に入れた携帯電話の番号に電話をかけた。
何度、娘に教えられても覚えられない携帯電話の操作。
私はこんなに老いて、全てが衰えてしまった…こんな時、いつも自覚する。
娘はいつもイライラしながら同じ事を何度も繰り返し教えてくれてたな…。
少し思い出しながら、5分くらいかかって
ようやく電話をかける事ができた。
『もしもし?』
若い女の声…娘よりも大分若い声に戸惑いながらも、間違い電話じゃない事を確認しようと試みた。
『もしもし?』
「あー…えーと…その、人から聞いて電話したんですがね…この電話はその…いや、君はその…本当に…」
『ハイ!?』
やはり間違えてかけてしまったか?
自分でも聞きたい事を順序よく聞けない。
'一体何を言ってるの?'
そんな風に、電話の向こうからは怒っている女性の顔が想像できて、申し訳なく思った。
「いや…申し訳ない。間違えてかけてしまったかもしれない」
やっぱり携帯電話の操作を間違えてしまったのかもしれない…謝って電話を切ろうとした時、向こう側の女性は言った。
『もしかしてキスの依頼ですか?』