だからキスして。
舗装はされてるけど、細くて曲がりくねった道。

完璧、山じゃんよー

「ちょっとぉ…ドコ行く気?」

「秘密♪」

あたしの心配をよそに、知哉はドンドン山道を進んで行った。

街灯はないし、暗いし…ヤだなぁ。怖いじゃん。

と、思ってたら知哉は急に道をそれて車を停車させた。

「キャ…な、何?!」

「着いたよ。外に出ようよ」

得意気な顔をして、彼はエンジンを切りライトを消した。

そして知哉は車を降りて回り込み、助手席のドアを開けてあたしの腕を引っ張った。

「や…ヤダー!!あたし殺されちゃうの!?」

「はぁ?!何言ってんだよー!サスペンスの見すぎじゃね?いいから外見てみろよ」

知哉は呆れながら、あたしを外に連れ出した。

暗闇…



木が生い茂っていて、何もない暗闇だけが目の前にあるんだと思っていたのに

違った。



「わ………綺麗…」

あたし達の目の前に広がる夜景。

小さな光が瞬いてる。

地上の星という喩えにピッタリの光景。

「だろ?今日は空気が澄んでるから綺麗だと思ったんだ。ホラ、上も見てみ?」

「上?」

言われた通り、空を見上げると
今度は本当の星々が頭上に広がっていた。

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