魔女サマとペガサス
「あらリット、今度は何も獲って来なかったの?」
そう話しかけるとホー、と誇らしげに鳴いて灰色の羽を膨らませてたけど、その意味は後でわかる。
アタシが首をかしげる横で、ペガサスが肩に移動したグルリットに挨拶して、ご丁寧にくちばし攻撃を受けていた。
これアタシも最初やられたのよね、なかなか痛い。
「魔女サン、動物引き連れてなんだかすごいですね」
「うるさい、アンタもその動物でしょうが」
「僕は後にここに夫として加わります」
「だまらっしゃい、まだ言ってるのそれ? …あ、着いたわよ」
草木の中に赤いキノコの群れを見つけて、アタシは足を止めた。
ペガサスがキノコを見て嫌そうな顔をしている、馬顔で。
「いっぱい採るから、カゴちょうだいカゴ」
「尻尾にかけられているので自分では取れません」
「リット」
グルリットを呼んだら、彼はバサバサッと飛んでペガサスの尻尾からカゴを引き抜いた。
なんていい子。ただの馬に羽が生えたヤツとは大違いだわ。