魔法の戦士《bellator》
「ちょっと、幸大…んぐっ!?」

テナが委員長の口を塞ぐ。

「…お金、ですか?」

「確かに、それが一番分かりやすいが、払えるのか?


俺はお前の両親を救う。

つまり、2人分の命を金に換算しろってことだ。

人間の命をそんな普通の奴が金に換算して払えるか?」


「…、」

「ま、それは自分で考えろ。

両親は救ってやる。

放課後、案内してくれ。」

「…はい。

お願いします。」

「さて、腹減った。」

「ぷはぁ!

テナ、何すんのよ!!

それに、幸大も何言ってんのよ!!」

「何が?」

「人助けくらい無償で…」

「あのな〜。

俺は自分のことで精一杯なんだよ。

俺に直接関わることなら無償でやるけどよ…

今回のに至っては塩見をこのまま見捨てれば俺には一切関係のないことなんだよ。


わかるか?」

「あんたってたまにスゴく最低よね。」


「最低って…けっこう傷つくぞ?

それより昼飯をくれ。

空腹で死にそうだ。」


「…はい、あんまり上手じゃないけど。」

委員長が弁当箱を渡す。


「どれどれ?」

蓋を開ける。

「めちゃめちゃ旨そうじゃん!!


いただきます!」

幸大が食べる。

「ど、どう。」

「久々の手料理。

感動だ!!

味も最高!!

文句なしだ!!」

「そ、そう?

ならよかった…」


「愛情がたっぷりのお弁当は味が違うのかしら?」

テナが言う。

「あ、愛情!?

何言ってんのよ!!」

委員長の声が裏返る。

「へぇ、委員長の愛情が入ってんのか。」

幸大が言う。

「は、入ってないわよ!!」


「…愛情、ですか。」

奈々が呟いた。
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