魔法の戦士《bellator》
「お前、名前は?」

如月が言う。

「お前、神社の娘らしいな。

巫女服で現れたら名乗ってやるよ。」




沈黙。


「幸大、授業に遅れるわよ?」

委員長が空気を変えようとする。

「お前…」

如月が言う。

「あの、何か?」

「いや…、何でもない。


さて、私も教室に戻らなければならない。

さっさと退けてくれないか?」


「それは俺も同じだ。

めんどくさいことに、理科室に行かなきゃならねぇんだ。

退けてくれないか?」


「私はお前に道を譲る気はないぞ?」

「そうか。

好きにしろ。」

「退ける気になったか?」

「いや、

通してもらわなくてけっこう。

俺はまかり通る。


エラボー《透過》」

幸大が如月に近づき、そして…


スッ、


「何だと!?」

幸大は如月の体をすり抜ける。


「悪いな。

お前の体を通らせてもらった。」

「お前は、いったい…」

「さぁな?

じゃ、そろそろチャイムがなるし…


また会おうぜ?

如月翡翠。」


「ちょっと、幸大!

待ちなさいよ!!」

「待つですの!」



「…幸大?

今、いったい何を?」

如月は自分の体をぺたぺたと触りながら異常がないか確かめる。
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