朽ちる少女
「あのさ」
僕は意を決して、神原さんの正面に立った。
「どうしたの?」
「言わなきゃいけない事があるんだ」
ここから先に進むには勇気が必要だ。
それは、自分の想いを伝えるという事だけではなく、神原さんとの別れなければならないからだ。
それでも僕は、踏み出さなければならない。
「中学生の時、この橋は僕の通学路だったんだ。毎日毎日、ずっとこの橋を渡ってた。だから、3年前もこの橋を渡ってた。だから、毎日毎日、この橋を渡り、毎日毎日、神原さんを見ていたんだ」
3年前から知っていた事を告げると、神原さんは少し驚いたように見えた。でも、優しく微笑みながら、話しの続きを待ってくれる。
「3年前の3月、僕は親の都合で引っ越してしまって。
でも、ずっと、何も変わっていなかった・・・・・」
多分、気付いた。
僕と同じように、気付いた。
だから、そこで言葉に詰まった僕のために、「頑張って」と応援してくれたんだ。