朽ちる少女
「お願いがあるんだけど、良い?」
「何?」
「何だか、とても寒くて…頬を撫でて欲しいな」
「分かった」
今は真夏だというのに寒いとは、既に体温調節が出来なくなっているのだろうか。
結果はどうあれ、早く救急車を呼ばなければ。そして、警察に連絡して犯人を。
俺は一歩ずつ彼女に近付き、手が届く範囲に移動するとしゃがみ込む。
そして、水分を失ったカサカサの頬に、ゆっくりと右手を伸ばす。
不意に気付く。
この手首にある紫色のアザは、一体どうしたのだろうか。
そういえば、なぜ俺はこんな場所に来ているのだろう。