朽ちる少女

車で走っていた。

どこを?

どこに向かって?

なぜ…

なぜ?


道路脇に停めて、自動販売機で飲み物を買う。

道路からこれだけ離れた場所。確かに異臭はしているが、工場の中の臭いが漏れ出して、あんな場所まで漂うだろうか?

今日は無風だ。
風は吹いていない。


「ぐがあっ!!」

無意識に言葉にもならない声が自分の口から飛び出し、反射的に伸ばしていた手を引く。

かつて経験した事がない激痛。間断無く襲う痛みは、右手首から先の感覚を奪う。

左手で右手首を強く握り見据えた瞬間に、自分の身に起きた事を理解した。


右手の小指が無い。
第一関節から先が、無くなっている!!


< 41 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop