朽ちる少女
車で走っていた。
どこを?
どこに向かって?
なぜ…
なぜ?
道路脇に停めて、自動販売機で飲み物を買う。
道路からこれだけ離れた場所。確かに異臭はしているが、工場の中の臭いが漏れ出して、あんな場所まで漂うだろうか?
今日は無風だ。
風は吹いていない。
「ぐがあっ!!」
無意識に言葉にもならない声が自分の口から飛び出し、反射的に伸ばしていた手を引く。
かつて経験した事がない激痛。間断無く襲う痛みは、右手首から先の感覚を奪う。
左手で右手首を強く握り見据えた瞬間に、自分の身に起きた事を理解した。
右手の小指が無い。
第一関節から先が、無くなっている!!